ともだちを待つ女の子の目には涙。
約束の時間に現れたともだちは・・・・・とびきりの笑顔。
女の子の顔を見るなり、はずんで話はじめました。
「今朝ね、なぜか悲しい気持ちで目が覚めてしまって
しばらくぼんやりしてしまったの。だけど、カーテンを開けたら・・・
びっくりしちゃった!だって青い空に風船がたっくさんなの!
お祭りかなにかかしら・・・?でも音楽も聞こえて来ないし・・
外に出て歩いてみたら・・・曲がり角をまがっても、お店に入っても、必ず風船が目に入ってくるの。
でも、どこにも風船売りはいないのよ。不思議よね。
風船を持っている人はみんなとてもにこにこしていて、とっても幸せそうで!
私の悲しい気持ちなんてすぐに飛んじゃった。
ぐんぐんぐんぐん幸せな気持ちになっていったの。
笑わないでね、
なんだかね、みんなが私をお祝いしてくれているように思えちゃったの。
みんなのやさしい笑顔のまんなかに自分がいるようで。
今日、お茶会に招いてもらっていなかったら、悲しいきもちのままで、
町にもでなかったと思うの。
ありがとう!ほんとにすてきな日だわ。
あら?わあ!すてき!このケーキ!なんて綺麗なのかしら!
こんなケーキ見るのはじめてだわ。
私、この花、大好きなの。」
いつもは囁くように恥ずかしそうにおしゃべりをするともだちが
元気いっぱい、大きな声で一気にしゃべったものだから
女の子はびっくり。!
あたたかい紅茶をいれて、ケーキを切り分けて
女の子はせいいっぱいおもてなしをしました。
なんと!ケーキがそれはそれは美味しく出来ていたんです。
ともだちはたいそう喜んでくれて、おかわりもしてくれました!
・・・・・・女の子はふと思いました。
そういえば・・・昨日までこの花咲いていなかったわ。
あ、あの花も、あの木の花だって・・・
まるで今日に合わせて咲いたみたい。
(ケーキだって、こんなに美味しくできたのはまるで奇跡だしねえ)
私だけじゃなくて町の人たちだけでもなくて・・・
もっともっともっと遠くの、広いところのひとたちも一緒に
みんなでお祝いすることができたのかな。
とびきりうれしそうなともだちの顔を見られて
女の子は幸せでした。
ありがとう。たくさんたくさんありがとう。
こころの中で、誰にともなく言いました。
5月のある特別な日のお話。