◆10月のお話◆


そこそこ町のパン屋さん。
女の子はすっかり仲良しになったみたいです。


にこにこ顔のご主人はさ、女の子が来るころを見計らって
ドーナツやメロンパンやデニッシュを(いかにも女の子が喜びそうだよね)作って待ってくれているんです。
今日はアツアツのドーナツですね。奥さんも一緒につまみ食い。
うーんデリシャス!

圧迫感のある勢いのがっちり厳しい奥さんは、しゃべりだしたら・・んもう止まらないのね。
女の子は毎日いろんな話を聞かされて、びっくりしたり感心したり
・・・そして時にはちょっとばかり嫌な気持ちになったりしつつも(ほら、この奥さんキツイから・笑)
そこそこ町の情報をたっぷり仕入れているみたい。


それにね、キツイとはいってもさ、情に篤い人なのよこの奥さん。
(ウカウカさんがいるとはいっても)家族と離れて暮らす女の子の事、すっごく気にかけてくれているんだよね。

「お客さんにいっぱいもらったんだけどねこのシャンプー。もって行きなさいよ、すっごくいい香りだから。」
っていうような『もっていきなさいよ攻撃』からはじまり・・・
必ず最後に
「あんたちゃんと食べてるの?野菜は・・・食べてるわね。
お肉お魚バランスよく食べてるの?
いつでもうちにごはん食べに来なさいよ。具合悪い時も言うんだよ。」

って、女の子の目をじっと見て言ってくれるのね。

(・・・・おかあさんがもうひとりできたみたい・・・・・)
うれしい気持ちを女の子が言おうとしたその時・・・・・・・奥さんが言ったのよ

「あたしのことはさ!ほら!お姉さんだと思っていいんだから!」

・・・・・・・・・・・・あぶないところでした。

人生はいつでもスリリング。
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