その18◆いろんなことがまたはじまる の話。の7。


◆ ウカウカ氏は語る ◆

その日はなんやら胸がザワついたもんで
早めに家に帰ったんだったらぺ。


家に入るとでっかい花が横たわり・・・

でっかい水たまりがひろがり・・・

「おまえ様」の雑な行動がこういう結果を生みだすということに
ワシもずいぶん慣れてきたので
驚きはしなかったけっども・・・



・・・ほったらこといってもここの花は
ハサミで切れるわけでもないシロモノだっからよ
なんとなく切ってくるのは考え物なんだっぺ

そもそも花を活けるっちゅうことはだな
その人のこころを見せることなんだっぺよ



ま、こんなもんだっぺ。


◆◆◆

夕方帰ってきた「おまえ様」は
夜ごはんの支度をするでもなく、花を愛でるでもなく・・・
クマのようにのっしのっしとぐるぐると・・・
家中を歩き続けたっぺ・・・

ワシが空腹を訴えるとようやく・・・
しかしそれでも
部屋の隅のほこりをかぶった箱の中から
インスタント麺を出してきてテーブルにのせたんだっぺ。

そしたらなんと!なんということだったらぺ!
「おまえ様」ときたら!
インスタント焼きそばにジャムを!
野菜とはいえ甘いジャムを!
トッピングして食べやがった!

ワシのデリケートな感性はとてつもない衝撃を受けたんだったらぺ・・・
こんな人間の作るごはんを・・・これから先食べていて良いのだろうか・・・

深い闇が見えた瞬間だったらぺ。

・・・・さすがに「おまえ様」も一口食べてしかめっつらして考えこんでいたっぺ・・・・



(ワシが食べたヌードルが賞味期限ぎれ(しかもはるかかなた)だったことを後で知って
ワシのデリケートな胃腸も衝撃を受けたっぺ)



・・・そして・・・
いつもならワシより先にぐーすかぴーすか寝息をたてる「おまえ様」が
今夜はいつまでもなんやらしてて寝ようとしないときたもんだ。


時々ため息のような音が聞こえてくるもんだっからよぅ
ワシもなかなか眠れないんだったらぺ。


しかしワシは「喫茶ウカウカ」のマスターだっからよ
絶妙な味覚には睡眠は大切だっからな
もう眠ることにするっぺよ。


ワシのザワついた一日はザワついたまま終わるっぺ。


しっかしよ、
こんな夜もあるもんだったらぺ。


ほんじゃあまあおやすみなさいよ。